Infiltrate アートワークコラム
9月24日(土)に一般発売予定のmowl 新機種 Infiltrateについて、今回はアートワークを担当したKALON DESIGN STUDIO(以下敬称略)にインタビューし、アートワークに特化したコラムを作成しました!
制作ストーリーについて色々とお話を聞いておりますので、早速ご紹介していきたいと思います!
KALON『Ericはmowl Ambassadorの中で唯一話したことがなかったプレイヤーだったので、まずはEricというプレイヤーについて、Ericという人柄について知る必要がありました。
Youtubeで彼のプレイスタイルをチェックしたり、メッセージで直接本人と会話をしていく中で分かった事は、彼はヨーヨーと同じくらい(もしかしたらそれ以上に?笑)音楽が好きで、Ericのスタイルはいつも音楽と共にあるという点でした。
中でもJazzが好きだというEricがヨーヨーのステージで使用している楽曲は、彼のルーツが色濃く反映されたグルーヴィンなものが多く、最初に"Infiltrate(浸透する)"というプロダクト名のアイデアを出してくれたのもEricでした。』
Eric『When I hear infiltrate it kind of reminds me of this song and picture.』
("Infiltrate"と聞くとこの曲とジャケットが思い浮かぶんだ。)
KALON『Ericはそう言って、私に In A Sentimental Moodという曲を送ってきました。
正直な感想としては、理解できるようで全く理解できませんでした。笑
シグネチャーモデルを担当する際は、可能な限りmowlというブランドイメージの中でプレイヤーの希望に沿ったアートワークを制作したいという想いがあったので、まずはレコードをモチーフにしたラフ案を提出しました。
結論から申し上げますと初作のラフ案はボツになってしまったので、また機会があればイベントやカタログなどでお見せできればと思います!』
KALON『円形のデザインでレコードをモチーフにしたアートワークは市場にも非常に多く出回っており、唯一無二のインパクトを出すにはもう少し他の要素が必要であると感じていました。
その為、Ericとmowlプロデューサーの奥山氏と3人でもう一度プロダクトイメージのヒアリングを行いました。
その中で出てきたアイデアとして"Infiltrate"が持つもう一つの意味(潜入する)に着目し、白紙の状態から再びアートワーク制作がスタート。
鍵を壊して潜入するイメージをアートワークに反映してほしいというEricの要望を元に、2枚目のラフ制作を進めました。
壊れた鍵と、表と裏の顔を持つスパイ(潜入者)を掛け合わせ、このロゴで行こう!と満場一致、あとは機体にアートワークが載るのを待つのみでした。』
↓その時のアートワークがこちらです。
2枚目のラフでは鍵のダイアル部分が"Infiltration"になっています。
よく見ると、左右だけでなく正面も顔に見える仕掛けになっています。
制作が完了し、あとは量産を待つのみだったInfiltrateは、社会的情勢により大幅に量産が遅れていました。
KALON『量産遅延の間に、Youtubeで、とあるEricのパフォーマンス動画を見つけてしまいました。
敢えて見つけて"しまった"という言い方をしておきます。笑
そのステージがとても美しかったんです。
ヨーヨースキルに関しての上手い下手は正直私には分からない部分なので、これまで数多くのプレイヤーを拝見してきましたが、その基準はいつも、見ていて気持ちいいかどうか。という視点でした。
とても気持ちよかったんです。笑
楽曲のチョイス、ストリングの軌道、彼のステージは私には1つの美しい作品に見えました。』
↓そのEricのパフォーマンスがこちら。2018年の44Clashです。
KALON『そこでもう一度このステージにインスピレーションを受けたアートワークを制作してみたい!と私の中のアーティスト魂的なのが突き動かされてしまったんですね。笑
無償でもボツになっても構わないからもう一度描かせてほしい。
そこには仕事の枠を超えたアーティストの情熱みたいなものがありました。
"いい作品を見せてくれてありがとう"というアンサー的な気持ちもあったかもしれません。
結果的にこの3枚目のラフもボツになってしまい、語ると非常に長くなってしまうのでまた別の機会でご紹介させて頂きたいと思います!』
KALON『44ClashでEricが使用していた曲は、ワルツの中でも最も美しいと称される"Piano man"という曲をJazzピアニストがカバーしたものでした。
その為、3作目ではワルツをテーマにしたロゴ制作を行い、外周に鍵盤を用いてEricのステージを表現しました。
3作目のメインロゴは量産に至らなかったものの、3作目のエレメントも上手く落とし込めないか、Ericと奥山氏と最終の打ち合わせを行いました。
その結果、3作目の外周に用いていた鍵盤を採用、鍵のダイヤル部分も鍵盤に変更し、最も"Ericらしい"機体が完成しました。
KALON『余談ですが、この時Ericが使用していた曲のピアノを弾いていたのは、私自身が美しい旋律に魅了され、最も影響を受けたピアニストが弾いていたものだと後から発覚しました。
今から4年も前に、同じものを美しいと感じていたEricにはどこか親近感のようなものも感じています。
また、こうしてヨーヨーやアートワークだけに限らず、1つの芸術作品としてヨーヨーの制作を行わせて頂き、改めて制作の楽しさを教えてもらえたプロダクトでもありました。
今後もヨーヨーの枠を超えた作品作りを、mowlアンバサダーやmowlプロダクトに関わるクリエイターさん達と楽しんでいければ嬉しく思います。』